Route357

くるまとか鉄道とか趣味とか。不定期更新で「伝えること」を目的に記事を書いていきます。

横浜の新風

こんにちは。今日もブログを開いてくださりありがとうございます。

 

先日、非鉄道好きの友人とあれこれLINEしている中で、都営三田線の話題になりまして。東急3020系が乗り入れてくるようになった、とか、6300形は何種類か音が違うと、とか、6500形は5500形と違ってsustinaじゃない、とか。鉄道好きじゃないといいつつも、かなり知識を蓄えつつある所に若干畏怖していますが、そんな中で私が感じたのが、相鉄の影響力です。

 

相鉄といえば、2019年11月30日の相鉄・JR直通線開業が大きな話題を呼びました。相鉄新横浜線の部分開業と同時に、東海道貨物線経由で品鶴線武蔵小杉方面を結ぶルートが完成したことになります。相鉄悲願の都心乗り入れが実現した訳ですが、これで終わりではありません。相鉄新横浜線の本格開業、相鉄・東急直通線経由で東横線渋谷方面、目黒線目黒方面へのルートの開通をめざしています。都心乗り入れはJRと東急、2本立てで用意されているものなのですが、これがまだ序章にすぎないことはあまり話題にはなっていません。

 

しかし細かいところに目を向けてみると、東急電鉄が3020系を8両編成で導入していたり、東京都交通局三田線各駅のホームドア更新工事を進めるなど、相鉄線外でも相鉄・東急直通線開業に向けた動きが見られています。

当たり前のようで当たり前じゃない、この影響力を与えている相鉄って、改めてすごいなと。

もちろんJRTT(正式名称は「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」)が間に入り、都市鉄道利便増進事業の一環として事業化されたものとはいえ、運用主体は相鉄というのだから、十分すごいことだと思います。

 

さて、そんな相鉄ですが、都心直通に向けて20000系と12000系という2形式が投入されました。20000系に関しては増備が現在も進んでいますが、1形式で統一せずにわざわざ2形式を投入した意味や、両者の違いを考えてみようと思います。

 

□コンセプトを初めて反映させた9000系

 

新形式の話なのに、いきなり既存の形式の話になります。脱線させたわけじゃありませんよ。

2013年より相鉄で進められていた、デザインブランドアッププロジェクト。社員の制服や駅舎の内外装など刷新を実施してきた中で、初めて電車に採用されたのがこの9000系でした。

 

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2020.6.29 1010列車 9702×10

急行横浜行き @二俣川〜希望ヶ丘

 

コンセプトは「醸成を生み出す、横浜らしさのあるデザイン」。このコンセプトに則った4つのキーワード、「ネイビー色の車両」・「横浜らしさのあるフェイス」・「文化と居心地の良さを感じさせる照明」・「グレートーンの落ち着いた内装」を採用した初の形式になりました。


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2020.6.29 1008列車 9701×10

急行横浜行き @二俣川〜希望ヶ丘

 

ベースになった原型の車両です。デザインが大きく刷新され、強い印象を抱くデザインになりました。

この形式で採用されたコンセプトが、既存の車両のリニューアルだけでなく、今回の目当てとも言える新型車両20000系、12000系ともに継承されています。

 

□新技術を詰め込んだ20000系

 

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2020.6.29 3008列車 20101×10

特急横浜行き @二俣川〜希望ヶ丘

 

デザインブランドアッププロジェクトのコンセプトを採用した第2弾として、満を持して投入されたのがこの形式、20000系です。

日立製作所「A-train」仕様で製造されたアルミニウムダブルスキン構造の車両で、2021年1月24日時点で10連7本の70両が在籍しています。と、この時点で既にこれまで主力だった9000系と同数になっており、車両数だけなら10000系と同数です(10000系は8連5本+10連3本なので1編成多い)。

相鉄は日立製の車両を長年導入してきており、1993年投入の9000系(東急)以前の新製車は、全て日立製作所に発注されてきていました。

その後、JRベースの東急・新津(一部総車)製の車両に転換されてきていましたが、当形式で再び日立へ。1999年の8000系最終編成以来となる、18年ぶりの日立製の新型車両となり、またA-train仕様で投入されるのも、相鉄としては初めての事例です。

 

この形式は前面に貫通扉が設置されていることからわかる通り、直通先に地下鉄が含まれる相鉄・東急直通線向けに開発されたことになります。

相鉄と東急線、および直通先の東京メトロ東京都交通局埼玉高速鉄道へ直通するには、これまでの相鉄の車両とは異なる要素が多くあり、その分新技術の導入も躊躇なく行えました。

ハイブリッドSiCモジュールを採用したVVVFインバータ装置を搭載したのもそのひとつで、現時点で相鉄では唯一のハイブリッドSiC採用車となっています。

また、直通先の関係で車体幅は2770mmのストレートボディになっていて、運転席に目を向ければ、東急の規格に合わせたT字ワンハンドルマスコンになっています。

 

2018年に第1編成が投入された以後、一旦増備が停止していましたが、2020年7月に再開、今後は既存の車両の一部を置き換えつつ、東横線対応の10両だけでなく、目黒線向けの8両も製造されていくようです。

 

□システムを踏襲した12000系

 

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2020.6.29 6014列車 12104×10

各駅停車横浜行き @二俣川〜希望ヶ丘

 

こちらは相鉄・JR直通線向けの新型車両、12000系。

現在までに10連6本60両が投入されていて、こちらは現時点での増備計画はなく、必要数が出揃ったというところです。

相鉄とJRは車両の規格が大きく変わらない上、これまでにもE231系ベースの10000系や、E233系ベースの11000系を導入してきているため、直通先のE233系7000番台の仕様と揃えるのもそこまで難しくなかったと言います。そのため、これまでの技術を活用しつつ、相鉄らしいデザインに整えることに成功しています。

日立製に回帰した20000系と異なり、総合車両製作所が製造を担当していて、当然ステンレス製のsustinaブランドになっています。sustinaブランドで全塗装というのは、これが唯一の事例です。

 

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2020.6.29 3126列車 E233系宮ハエ123編成

特急武蔵浦和行き @二俣川〜希望ヶ丘

 

貫通扉がないのは、直通先を含む全区間で法令上貫通扉を必要とする区間を走ることがないためで、相鉄新横浜線が開業すれば新横浜までの乗り入れは実施するものの、東急新横浜線への乗り入れは行いません。

E233系に合わせた拡幅車体2950mmを採用しているのは11000系と一緒で、運転台に関しても同様に左手ワンハンドルマスコンとなっています。

 

□なぜ2形式を必要としたのかを考える

 

最後に、なぜ同じ相鉄新横浜線を走行する車両なのに、2形式が必要になったのか。考えるまでもなく、既に理由は挙げています。

たとえば20000系では貫通扉が前面に必要で、幅狭車体が求められた。12000系では貫通扉が不要で、拡幅車体でも都合が良かった。

とこのように、規格が大きく異なる2つの直通先(JRと東急)に乗り入れるため、ひとつの形式で対応させるのではなくて、それぞれの直通先に特化した2つの形式に分けることになったのだと推察できます。

 

今後が楽しみな相鉄線の新しい2つの顔、これからの世代に末永く親しまれることを願います。

最後までブログを読んでくださり、ありがとうございました。

 

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